こうや豆腐ができるまで
1. 原料
こうや豆腐の原料は畑の肉”とも呼ばれ、良質なタンパク質・脂質に加えて様々な体に良い成分を含んでいる大豆です。この大豆は、主にアメリカから輸入されています。
2. 精選、洗浄
大豆は分選機により夾雑物を取り除きます。洗浄機にかけられ水で汚れを洗い落とします。
3. 浸漬
洗浄した大豆は、水に漬けた状態で数時間おきます。これによって水を吸い、2倍くらいに膨らみます。
4. 粉砕
水を含んでやわらかくなった大豆は、水と共に粉砕機で粉砕され、細かくなります。生呉(なまご)と呼ばれる状態です。
5. 煮沸
生呉(なまご)は、蒸気を吹き込んで温度を上げ、呉(ご)と呼ばれる状態になります。この加熱によって大豆たんぱく質が熱変性し、豆腐ができるたんぱく質の状態となります。
6. ろ過
呉の中の固形分をろ過によって分離します。固形の物が「おから」で、液状の物は「豆乳」です。こうや豆腐の原料となるのは豆乳です。おからは、キノコを育てる培地、家畜を育てる餌となります。
7. 凝固
豆乳に塩化カルシウム(凝固剤)を添加し、豆腐成分を固めます。この工程はこうや豆腐製造工程における特に重要な工程で、高度な技術が要求されます。
8. プレス
凝固剤を添加した豆乳に圧力を掛けて押すことにより、豆腐成分が濃縮し、硬い豆腐が得られます。この豆腐は通常の豆腐の2倍程度の濃さを持つこうや豆腐のための豆腐です。
9. 冷却
豆腐は、冷水を循環させて放熱し、数時間かけて冷却されます。
10. 切断
豆腐は、自動切断機により切断され、この時点でこうや豆腐1枚の大きさになります。
11. 凍結
豆腐を凍結室に入れ、凍結します。凍結室は条件の違ういくつもの部屋に分けられており、この中を数時間かけて凍結します。この凍結がこうや豆腐の品質を左右します。
12. 低温熟成
凍結室にて凍った豆腐は冷凍倉庫の中で積み上げられ、氷点下で約3週間熟成されます。この期間内に豆腐に含まれるたんぱく質の結びつきが強くなり、こうや豆腐特有の食感が形成されます。
13. 解氷
熟成の終わった豆腐は、冷水を掛けて氷を解かします。
14. 膨軟加工
調理して食べていただく際に柔らかく美味しくなるよう、炭酸カリウムの液を含ませます。長年にわたって取り扱いが簡単な重曹(重炭酸ナトリウム)が使用されてきましたが、お客様の健康を考慮し、ナトリウム不使用の新製法(2014年)を開発しました。
15. 乾燥
膨軟加工が終わった豆腐は、乾燥室に入ります。温度・湿度を厳密にコントロールされた乾燥室にて乾燥します。豆腐の中に水分が残ったり、割れたりしないために高度な技術が要求されます。
16. 検査
つぶれていたり、割れていたりする豆腐を取り除き、合格品のみを製品とします。
17. 包装・出荷
製品に合わせた包装が施され、全国各地に出荷します。
画 : 原田泰治 (はらだ たいじ) 画家・グラフィックデザイナー
昭和15年(1940)長野県諏訪市生まれ、昭和38年(1963)武蔵野美術短期大学商業デザイン科卒業。昭和57年(1982)より朝日新聞日曜版に「原田泰治の世界」を2年半にわたり連載。平成10年(1998)「諏訪市原田泰治美術館」開館。日本全国各地、アメリカ5大都市、ブラジル2大都市、中米3カ国にて展覧会を開催。デザインの仕事を手がける一方、画家として「ふるさと」をテーマに全国を取材し、消えゆく日本の風景を描き続けている。